久々におはぎを作った。
冷凍庫に自作のあんこがあったので、今回は思いついてすぐ作ることができた。
市販のあんこや煮豆は甘すぎるので、豆を煮るのだけは必ず自分でする。
もっとも、今はどれも前ほど甘くないようだけれど。
おはぎを作りながら必ずと言っていいほど思い浮かべることがある。
それは、結構大きな鉄鍋一杯に煮たあんこを引っ掻きながらおはぎを作る母の姿。
隣で、半殺し(半分くらいをつぶした状態)のもち米のご飯を、大きさを揃え乍らあんこの鍋に落とすと、さっと引っ掻きながらあんこを付けていく。その速さと手際良さにいつも感心していた。あんこの付き具合も均等だし、何より形が整っている。
私も大きくなったらこんな風にできるようになるのかなあ、と思っていた。
でも、作る量が少ないからか、経験値が足りないのか、自分でやってもうまくいかない。結局、あんこを掌に広げて巻いていく方法に落ち着いている。
そもそも、おはぎのあんをつける時は、手に取っておにぎりのようにつけるのが一般的の様で、母のようにあんこを引っ掻きながらつけるのは、母方のばばさま(祖母)と実家の近所のおばちゃん以外は見た記憶がない。
あのあんこのつけかたは、生まれ在所付近の独特の方法なのだろうか?
などと考えたりするけれど、昔っからあちこちにあった方法なのかもしれないと思うときもある。
実は小さい頃、おはぎとは呼ばず「かいもち」と言っていた。
ずーっとそう呼びならわしていたから、おはぎだのぼたもちだの言われても、最初は同じものだと思わなかった。
高校生になって、徒然草の中に「かいもちなせん」との文章を見つけた。ああ、かいもち作るのね、と素直に納得していたら、かいもちってなんだろねと隣の席の子に聞かれてびっくりした。彼女は父親の仕事の関係で転校してきた人なので、へえ~知らないんだ、呼び方が違うんだと、思った。
教えてあげた後、念の為に古語辞典を開いたら「かいもち」が載っていた。
えっ、これ古語なの?とびっくり。至極当たり前に使ってた言葉だから。
そんなことはさておき、引っ掻いて作るから「かいもち」と勝手に思っていたりするのだけれど、真偽のほどはどうなんだろうな。
ちなみに、甥っ子たちには「かいもち」は通じなくなっている。
久々に作ったかいもちは美味しくてつい食べ過ぎてしまった。