空の広さ

何気なくつけたテレビで生まれ在所の近くを映していた。

いつの間にか高速道路の高架が走り、高い建物が増え、何だか空が狭くなった気分。

山に囲まれた盆地だから、水平線が見える海沿いの空と比べれば、元々そんなに広い空ではないけれど、邪魔者なしでアルプスが見えたところなのに、、、。

タクシーであちこち回って景色を見るのだけれど、このダム底にも家が一杯あったらしいんですけどね、と語る地元育ちの若いタクシー運転手のお兄ちゃんの言葉に何だか全く異郷の人を見てる気分になった。そのダムは私の同級生の家が底に沈んでしまった場所。自分自身も歩き回ったり自転車であちこち用事を済ませに行った場所。まあ、過ぎた年月は結構長いから沈む前を知らないのは当たり前なんだけど、気持ちの上ではなんだか釈然としない。

空が狭くなったと感じるように、自分の中の原風景も既に色々変わっているんだろうな。

そういえば、故郷は遠きにありて思うもの、と謳った詩人がいたっけ。